このページでは、日本の国酒、日本酒(SAKE)についての基本的な知識を簡単に解説してまいります。デリケートで爽やかな喉越し、料理との相性もフレキシブルな日本酒は、今やアメリカは勿論、ヨーロッパ各国においても注目され、世界の人々に親しまれている日本の味。皆さまが英国人のお友達に説明する際のちょっとしたマメ知識として、ご自身やプレゼント等のご購入時の目安として、疑問に思っていた日本酒の正体など、いろいろなご活用をして頂ければ幸いです。



<目次>

1. 日本酒の級別制度の廃止

2. 級別呼称の誕生

3. お酒の状態を示す一般的な名称

4. ラベルの読み方

5. お酒の品質による呼称

6. お米と水について




1.日本酒の級別制度の廃止


 日本酒の級別は、以前「特級」「一級」「二級」の三つに分けられており、消費者にとって一つの購買目安となる表示でした。しかし、当時の級取得の基準は、良いお酒ならばメーカーの自己申請により国税局品質部会の審査を受け、高い級別を取得するあいまいなシステムとなっており、メーカーの裁量や経営方針等により「本当においしいお酒」が低い級別で安く売られる、という現象も起きていました。これにより、消費者が「いい酒」「普通の酒」等の区別を級別表示に頼ることが難しくなった為、1992年から清酒の級別制度は全面的に廃止されています。級別は、あくまで税法上の区別を図る為の基準であり、清酒そのものの品質保証を示したものではなかったからです。「二級酒でもおいしいお酒が手に入る」といった当時の説はその為です。


2.級別呼称の誕生

 級別制度の慣習にこだわる訳ではないのでしょうが、それらに相当する呼称は商品の差別化を図る上で残しておいた方がいいという考えの元に独自に提唱された、いわゆる級別制度に代わる呼称です。灘・伏見等の大手全国メーカーが先陣を切る形で級別制度廃止後、次々と発表していきました。よって、これらは公的な審査による呼称ではなく、あくまで自らの酒についての自己評価であり、その呼称を使用するか否かの最終的な裁断は、各メーカーに任せられているものです。(例:特撰、上撰、佳撰、等。)


3.お酒の状態をしめす一般的な名称

お客様からよくこのような名称についてのご質問を頂いておりますので、以下に記します。

原酒: 製成後、1%以上の水を加えてアルコール分などの調整をしていないお酒。
     (1%以下の加水調整は可) この時点でのアルコール度数は約20度。

生酒: 製成後、一切熱処理をしない清酒。

生貯蔵酒: 火入れせずに貯蔵し、製品化する時点で一度だけ加熱処理を行う酒。

樽酒: 木製の樽で貯蔵し、木香の付いた清酒。


4.ラベルの読み方

日本酒選びにおいて、ラベルの読み方は、試飲に次いで非常に重要なお酒の判断基準の一つです。その表示基準を理解する為に重要になってくる知識をいくつかご紹介します。


日本酒度: +、-表示により、日本酒の中の糖分の量を示したものです。この糖分の数値は、日本酒の「甘」「辛」を判断する上で基準となってくる数値です。0、というのが標準、平均的な味となります。その後、+数値が増えていくにつれて辛く、-になるほど甘くなります。しかし一概に日本酒度の高い低いだけでは日本酒の甘い、辛いは判断できません。以下の酸度の具合によっても若干味が変わってまいります。

酸度: 日本酒に含まれる“酸”の度合が、その酒の軽快さを示す尺度となります。おおまかな範囲として、酸度 0.6-2.8 くらいの間の数値が一般的のようです。一般的に酸度が高いお酒は濃酵、低いと淡麗な味になりますが、実際の味覚面には高酸度であれば味は辛く感じられます。

上記に示した通り、日本酒度と酸度は日本酒の味に密接な関わりあいがあります。例えば、日本酒度は+15と少し高め、酸度が1.0と低めのお酒は、一般的に「淡麗・辛口」となりますが、やや甘めに感じられるでしょう。逆に、日本酒度が-20以上、酸度も2.0以上というお酒は「濃酵・甘口」となり、やや濃い味となりますが、同じ日本酒度でも酸度が1.0以下と低い数値になると、味覚的に薄く感じられる為、甘さはやや控えられます。


精米歩合: お酒の原料となるお米は勿論重要。日本酒を作る上で、米粒は中心に近いほど、また澱粉質以外の成分を可能な限り取り除いて高精白米にするほど洗練された味が出せるといわれています。よって、高価なお酒はより沢山の米を使わなければならなくなる為、当然製造コストも上がり、価格もそれに伴います。

醸造アルコール: 醸造アルコールがお酒に少量ブレンドされることにより、味わいを濃くする作用が生まれます。(醸造アルコールの添加量は、26%を境に本醸造酒、一般酒、と分かれます。)

5.お酒の品質による呼称


・純米大吟醸酒: 清酒の中でも最高に贅沢な材料をふんだんに使って丹念に作られたお酒。すっきりとした飲みやすさが特徴。精米歩合は50%以下でなければいけません。日本酒レベルの最高峰。

・大吟醸酒: 精米歩合50%以下。微量の醸造アルコールとのブレンドにより、深い味わいが楽しめるお酒。

・純米吟醸酒: 米と米こうじのみで作られた喉ごしの良く、高い香りが特徴。精米歩合は60%以下におさえられています。

・吟醸酒: ごく微量の醸造アルコールが加えられた香り高く滑らかな味が特徴。精米歩合は60%以下です。

・純米酒: 精米歩合は製造方法により変わります。(精米歩合60%以下、も
しくは70%)味付けとして使用される醸造アルコールを使わずに、米と米こうじの
みで製造された酸味と濃厚な味が特徴。

・本醸造酒: 米だけでつくられたアルコールに対して、醸造アルコールの添加量が25%以下であるお酒。精米歩合は70%以下。

・一般酒: それ以外の製法基準でつくられたお酒。

*これらの名称を日本酒選びの際に是非ご参考下さい。


6.お米と水について

日本酒を作るに欠かせない米と水についての豆知識です。

お米 やはり良いお酒を作るには、良いお米が不可欠。「山田錦」をはじめとして、
「福の花」や「五百万石」などの品種は、お酒を製造するのに非常に適した種として有名です。

水: 一般的に、水は香りや味わいを引き立たせる為に無味無臭のものが良いとされています。中でも伏水(伏見)と宮水(灘)は代表的。